俺達が知らなかったこと11
俺達が牧野つくしを失って、5年、、、
俺達は、つくしを失った日を悲しむのではなく、つくしが生まれた日を共に祝おうと、集まった、、、
それは、毎年12月28日、、、
つくしは、京都のあるお寺の一角にひっそりと埋葬されている、、、
つくしの墓は、垂れ桜と垂れ紅葉の2本の木に守られて、俺達を迎えてくれる、、、
いつものように、司は抱えきれないほど大きなバラのリースを、総二郎はつくしのバイト先だった団子屋のお団子を、俺は、つくしが好きなお袋の作ったケーキを、バースデーケーキを供える、、、
司は、寝る間も惜しんで学業と会社経営に励み、周囲も認める副社長になっていた、、、
俺もイギリスから戻り、部長としてバリバリ仕事をしている、、、
総二郎の点てるお茶は、人を暖め癒してくれると、若くして人間国宝の候補になっている、、、
類は、今年、日本支社社長としてフランスから戻ってきている、、、
俺達が各々思い思いの品を供えるのを黙って見ていた類が、チューリップの花束を供えて、ヴァイオリンを取り出す、、、
類の奏でるヴァイオリンの音を聞きながら、それを合図に俺達は帰る、、、
類は、ヴァイオリンを奏で終わると、桜や紅葉の木の下でしばし佇む、、、
そんな5年の間、、、
類は一人で、桜の時期・紅葉の時期にも、つくしに会いに来ては、木の下で転た寝をしていた、、、
そして、6年目の春、、、
桜の木の下で転た寝している類は、夢を見た、、、
類が愛でた黒髪ではなく、銀色の髪、、、
類の好きな大きな黒い瞳ではなく、紫の瞳、、、
たとえ、髪の色が違っても、瞳の色が違っても、間違えようもなく、つくしだった!
ああ、やっと会えたね、つくし♪
夢でも良いから、会いたいとずっと願っていたよ♪
ありがとう!
このまま、夢から覚めませんように、、、
《類、類、、、
起きて! 風邪引いちゃうわよ!?》
ああ、つくし、つくしの声まで聞こえる!
ダメだよ、起きないよ!
起きたくないんだ!
このまま夢の中でつくしと一緒に居たいんだから♪
《類ったら♪
起きて、本物の私を確かめて!?
ねえ、類、類♪》
目を覚ましても、そこに居てくれるの?
これから、ずっとずっと俺と一緒に居てくれるの?
《私の姿、変わってしまったの、、、
類が誉めてくれた黒髪も瞳の色も、以前とは違っているの、、、
でも、こんな私で良いのなら、私もずっと類と一緒に居たいの♪
だから起きて♪
今の私を見て♪》
目を覚ましても、ちゃんと俺の側に居るって、約束してくれなきゃ、やだ♪
《クスッ、類ったら♪
分かったわ♪》
フワッと、懐かしい香りが、、、
昔、シャンプーの香りと取り間違えていた、つくし自身から匂い立つつくしのこの香り、、、
清々しくも甘い香り、、、
チュッ♪
えっ!?
飛び起きた類を 笑顔で見守るつくし、、、
シルバーブロンドの腰まである長い髪、、
煌めく大きな紫色の瞳、、、
震える手を伸ばし、つくしを抱き締める類、、、
「つくし、つくし、つくし、、、
つくしだ!
どうして、どうして今まで、、、
連絡も無くて、、、
死んだと思っていたんだよ!
お葬式も納骨も済んで、、、
なんで? なんで、今まで、、」
「類、類! ごめんね♪
たくさん、たくさん、心配かけて、ごめんなさい、、、
そして、ありがとう♪
私を忘れずにいてくれて、ありがとう♪
怒らずに受け入れてくれて、ありがとう♪」
ぽろぽろ涙をこぼすつくしを、更にきつく抱き締める類、、、
「怒る訳が無いでしょ♪
生きててくれて、ありがとう♪
俺のところに帰って来てくれて、ありがとう♪
もう、何処へも行かないで!?
離さないよ♪
覚悟して♪」
類が、想いのたけを込めて、唇を重ねます、、、
「コホン」
業とらしく咳などするスーツの男女、、、
「誰!?」
「あっ、類!
私のSPのジョンとジョージアよ♪」
「なんで男が側にいるのさ!」
「ちょっと、類!
SPだってば!」
「ヤダ!
俺以外の男が、つくしの側にいるなんて!」
「ジョンは、ずっと私を守ってくれていたのよ♪」
「でも、ムカツク!
俺が側にいられなかった間も、つくしの側にいたんだ!?
もう、俺、1秒たりともつくしを離さない!」
「る、類、、、〃〃〃」
ジョン達が、肩を震わせて、あさっての方角を見ている振り、、、
けれども、一向に止まらないラブシーンに、、、
「アンジュ様、そろそろ戻りませんと、、、」
「なに? 何処へ行くの?
俺も一緒に行くよ!」
「類、一緒に来て、お父様に会って!?」
つくしに手を引っ張られて、嬉しそうに車に乗る類、、、
「つくしの実のお父さん?
進君や牧野のパパやママは、3人とも事故で亡くなったって、、、」
「ごめんなさい、牧野の両親や進も生きているの、、、
父が、情報操作をしているの、、、
父の研究を狙う輩から、牧野家を守る為に必要だったの、、、
悲しませてごめんなさい、、、
類は特に牧野の家族を好いていてくれたから、悲しませちゃったわよね、、、
ごめんなさい、、、」
「ふう~、聞きたいことがいっぱいあるけど、今はつくしを実感させて♪」
「類、会いたかった♪」
「つくし、俺のつくし、愛してる!
俺だけのつくしになって!?」
「類、それって、、、」
「うん、俺と結婚して!?
返事は、YESかQUIかのどちらかだけだよ♪」
「類ったら♪
YES YES YES! QUI QUI QUI♪」