奥様は魔女2
玄関で出迎える花枝、、、
《あっ、くのいち!》
類「ぷっ! アハハ、、、
花枝、この子、つくし、牧野つくし、、、
ぷぷっ、ダメだ、腹が痛てぇ、アハハ、、、」
つくし「ちょっと!
お腹が痛いのに、何笑ってんのよ?
そんなに痛いのなら、ドクターじゃない、ご、ご典医を呼ばなくちゃ!?
ねっ、くのいちさん、早くご典医を!」
誰が『くのいちさん』なのかと、誰か『くのいちさん』が居るのかと、自分の後ろを振り返る花枝、、、
そんな花枝を見て、益々笑いが止まらない類、、、
類「アハハ、ヒィヒィ、苦しい~♪
つくし、早く部屋に連れてって♪
花枝、お茶、、、アハハ、痛てぇ、、、」
つくし「そんなに苦しいなんて、、、
くのいちの花枝さん、早くご典医を呼んであげて!?
あっ、私、牧野つくしと申します、初めまして、お邪魔いたします、、、
類、類、大丈夫?
お部屋って何処の部屋?
ほらっ、しっかり私に掴まって!?」
半分体を折り曲げて笑い転げる類、、、
そんな類を初めて見た花枝は、しばし固まっていましたが、類が後ろ手にピースサインを出して歩き去る姿を見て、我に返ります、、、
つくしちゃんに抱き付くように寄り掛かって、笑い転げる類、、、
相変わらず、痛てぇだの苦しいだの言いながら、花枝に振り返るとウィンクする類、、、
初めて聞く類の笑い声に、あちらこちらから集まってくるメイド達、、、
そんなメイド達に、お辞儀をしながら、一生懸命類を支えるつくし、、、
《この武家屋敷には、くのいちしか居ないの?
もしかして、隠し扉向こうに控えているとか、、、
そうだっ、お庭番って居たわよね!?
お庭に控えているのかな?》
類「ぷぷっ! ああ、もうダメ!
死にそうだっ! ヒィヒィ、アハハ、、、」
つくし「類、類、死にそうだなんて!
早くベッドに横になって、、、
ああ、ご典医はまだですかぁ?
お庭番さん~、そこに居るならご典医を早く迎えに行ってください~」
《修行中でも魔法が使えたら良かったのに、、、》
類「ふ~ん、つくしは修行中なんだ!?
で、何の修行してんの?
魔法を使っちゃいけないんなら、魔法の修行じゃ無いよね!?」
つくし「うん、うん、お父様が、愛について勉強してこいって!
でも、授業でも教えてくれないから、どうすれば良いのか?
3年生になったら、授業で教えてもらえるの?」
類「残念ながら、授業じゃ教えてもらえないよ♪」
つくし「そっかぁ~、ん!?
って、なんで?
なんで、、、」
類「あんたが魔女だって、最初から分かってるよ♪
俺、陰陽師だし!?」
つくし「ひぇ~!?
人間の魔法使いじゃん!
私、今、魔法使えないから、魔法対決出来ません~」
類「ぷぷっ! あんた、魔法対決って!?」
つくし「あれ! お腹痛いのは?」
類「つくしが、優しく寝かせてくれたから、治ったみたい!?」
つくし「よ、良かったね!?」
《私は、何もしてないっちゅうの!
陰陽師って、やっぱり強敵だわ~
死にそうな病気を治せちゃうなんて!》
《つくしは、分かって無いね!?
敵じゃないんだよ、愛する夫になるんだから♪》
と、ドアがトントン、ノックノック、、、
花枝「類様、お紅茶をお持ちいたしました、、、
入ってもよろしいでしょうか?」
類「ん、テーブルも持ってきた?」
《そう言えば、この部屋って、なんも無い~
陰陽師って、鼻ピコピコ出来ないから、くのいちに用意してもらうんだ~》
《ふ~ん、鼻ピコピコはテレビドラマの作り話じゃなかったんだ~
つくしの鼻ピコピコ、いつか見せてもらうよ♪
さぞかし可愛いいだろうな♪》
花枝「ケーキもご用意いたしましたが、どれを召し上がりますか?」
《うっわあ! これがお母様いわくの禁断のケーキ♪
お誕生日にしか食べられないって仰ってたけど、、、
むやみに食べると呪われるって!
でもでも、陰陽師邸では守られてて大丈夫なのかな?》
類「つくし、この邸には結界があるから、ケーキをいつ食べても呪われる心配は無いんだよ♪
好きなだけ食べても大丈夫♪」
つくし「えっ! と言うことは、、、
ケーキ食べ放題!?」
類「そっ!
花枝、ワゴンのまま置いてって♪
後で、ハーブティーを持ってきて♪」
きらきらお目めで、ケーキを見つめているつくしを、微笑ましく見て静かに下がって行く花枝、、、
類「さあ、たんとお食べ♪」
つくし「じゃ、このラズベリーのケーキから、、、頂きます♪」
《流石、魔女っ子、リムジンにも驚かなかったし、食事の作法も優雅だな、、、
人間界では、何処に誰と住んでいるんだろう?》
類「ねえ、つくし、今は誰と住んでいるのかな?」
つくし「類、このイチゴのケーキ、最高♪
スポンジがふわっふわっで、クリームも軽くてイチゴも大きくて甘~いの♪
類も一口どうぞ♪
はい、あ~ん♪」
類「ん、美味しいね♪
で、誰と何処に?」
追求の手を緩めない類、、、
つくし「ん?
進とモルガナホテルに泊まってるけど?」
類「そこって、結界が無いから、ケーキ食べ放題じゃ無いよね?
弟もケーキ食べたいんじゃない?」
つくし「うん、でも無理だもん、、、」
類「無理じゃないよ♪
弟もここに連れてくれば良いんだよ♪
弟は、今何処に居るの?」
つくし「進は、英徳中学の1年生、もうすぐ授業が終わる頃だわ♪」
類「じゃ、田崎に迎えに行かせるから、進君に連絡しよう♪」
つくし「でも、家の車が、迎えに行く予定だから、、、」
類「携帯貸して♪
もしもし、あっ、進君?
俺、花沢類、、、
進君の姉上のつくしは、今、我が家に居るんだ♪
進君も、花沢の車で田崎と言う運転手が迎えに行くから、それに乗っておいで♪
ケーキをご馳走するよ♪」
と、ドアがノックされて、、、
花枝「ハーブティーをお持ちいたしました♪」
類「丁度良かった!
田崎に英徳中学まで、つくしの弟の進君を迎えに行かせて!
つくしのカバンの回収もね!」
花枝「あらまあ♪
つくし様の弟様にもいらして頂けるのですか?
なんて嬉しいんでしょう♪
早速シェフに夕食の用意をお願いしてきますね♪」
類「そうそう、花枝、どう思う?
今知ったんだけど、訳あって、つくしと進君の二人だけでホテル住まいしているんだって!」
花枝「まあ、それはいけません!
子供二人だけだなんて!
今夜はこちらに泊まって頂きましょうね♪
良いですか、つくし様!
子供二人だけだなんて、お聞きしては、放っておけません!
花枝の大人としての責任問題でございます!
どうあっても、泊まって頂きますから!
さあさあ、お部屋の用意をしなくては♪」
《花枝、グッジョブ♪》
類「うん、やっぱり大人の責任として放っておけないよね♪
と言うことで、今日はお泊まり決定ね♪
花枝、つくし達のホテルはモルガナホテルだって!」
《はい、類様の言わずのご指示、了解しました♪
ご指示通り、つくし様達のお荷物を全部引き取って参ります!
先程、奥様にお電話でつくし様の事をお伝えした際に、類様の為に最善を尽くすように命じられておりますので、、、》