愛は惜しみ無く奪い与える30
「で、あきら、本当のところ、婚約相手ってどんな奴なんだ?
噂じゃ、同じ部屋にいるのもごめん蒙りたい女みたいじゃねぇか?」
うっ、類の相手が、司の理想そのものの女だなんて言えねぇし、、、
「あ~、そのうち嫌でも会うチャンスがくるさ!」
「司、そん時は、ぜってぇ暴れるなよ!!」
「ふん! 俺様にすり寄ってこなけりゃ、無視するだけで勘弁してやるさ!
ババアは 類の婚約を、悔しがってたけどな! 」
「まあ、今時の落ちぶれ貴族と違って、マッキーノ公爵と言えば、その企業の規模は、ヨーロッパ全土どころか、アメリカや数々の石油王国、嫌、世界中を網羅するらしいし、、、
司の母ちゃんにしたら、是が非でも司とまとめたかった縁談だっただろうな、、、」
「あぁ?
いくらババアが言って来ようが、そんな醜女は願い下げだっ!
類の奴、本当に大丈夫なんだろうなっ!?
今回の監禁が解けたら、類のところに行くぞっ!」
司の謹慎が解けた一週間後、、、
「あぁ!? 類がいないだとぉ!?
フランスに行ったぁ!?
フランスの大学に通いながら、仕事を始めるぅ!?
何の連絡も寄越さないで、あんの野郎ぉ! 」
素早く携帯を操作する総二朗、、
「類の携帯、電源オフになってるぞ!」
「どこまで心配掛けるんだ、類の奴!
今から家のジェットで追いかけるぞ!」
「まあ、待て!
類には、俺達に会いたくない、会えない、事情があるんだろうから、暫くそっとしておこうぜ」
そうだな、今司がつくしちゃんに会ったら、大騒動になりかねないからな!
「類の奴、仕事を始めるのか、、、
大学と仕事で、暫くは俺達に割く時間は無いだろうな、、、」
「だな! 類から連絡が来るまで、待ちますか!?」
「じゃ、いつものところに繰り出しますかっ♪ 」
その後も、マッキーノ公爵家と花沢家の報道管制により、つくしの情報が世に出ることはなく、この政略結婚の犠牲者として、類は暫く同情されるのである、、、