運命の女25 番外編(司)
俺は記憶を取り戻した、、、
ババアの管理が届かないあきら系列の施設で、、、
古代魔術まで駆使して、、、
何としても思い出さねばならなかった、、、
ババア達に植え付けられた歪められた記憶ではなく、俺が、牧野に仕出かした本当のことを、、、
辛いはずと覚悟をしていたつもりだったが、、、
俺の覚悟なんて何の役にも立たなかった、、、
取り戻した記憶に苦しめられ、飲まず食わずじゃなく、飲めず食えず、なのに吐いて呻いて吐いて呻いて、とうとう吐血してしまった、、、
自分が情けなく、恨めしく、浮かんでくる言葉は、《何故何故、、》ばかり、、、
だが、ある日、、、
「司、そろそろ、ドン底から這い上がって来い!
俺達の手を掴んで立ち上がれ!」
「・・・・・」
「俺達、親友だろ!?
来い!
渾身の一服を点ててやる♪」
抵抗する気力もなく、気が付けば西門の別邸の茶室で、総二郎の点前を観ていた、、、
何だろう?
この世の有象無象総てを断ち切ったような清々しさは、、、
無我の境地で茶と向き合う総二郎の所作は、至高の芸術品だった、、、
やがて、目の前に置かれた茶の味は、、、
憧憬、熱情、想い遣り、真摯な愛、、、
あぁ、そうか、、
総二郎、お前も、、、
お前は、その想いを茶に籠めているんだな、、、
そうやって、一生その想いを相手に告げることなく大切に抱き続けて行くんだな、、、
俺も、この愛を諦めない!
諦めずに、一生大切に抱き続けて行こう、、、
つくしの笑顔を陰ながら見守ろう、、、
「なあ、また、この茶を飲みに来てもいいか?」
「うん?
少しは茶の味が分かるようになったか!?」
「・・・あぁ、お前の茶は格別だ♪」
「・・・司、少し庭を散策しないか?」
「司、あきらと行ってこい♪
俺は片付けがある、、、」
「・・・なあ、あきら、お前はどうやって牧野への想いを封じ込めたんだ?
滋との関係にどう折り合いを付けているんだ?」
「封じ込めも折り合いもつけていないさ、、、
牧野への想いは、封じ込めようとして封じ込められるものじゃない、、、
俺同様、滋も、半端なく牧野を愛し、切望している、、、
滋はたまたま女で、俺は男だっただけで、想いは一緒さ、、、
そして、そんな俺達は、その有りの儘の姿でお互いを愛しているんだ♪」
「そうか、有りの儘の姿でか、、、♪
そうだな!
折り合いなどくそくらえ!
封じ込めなんか出来るかってんだ!」
「そうさ!
司、堂々と牧野を好きでいろ!
但し、類の逆鱗に触れるなよ♪
牧野に関してのあいつの独占欲はハンパねえからな♪」
「だな♪・・・」