その歌声で2
その時、、、
何事にも無反応、無表情、無愛想と言われている俺、、、
本当に動いているのかと、冗談半分で噂されている俺の心臓が、大きくドクンと脈打った、、、
俺の身体中の細胞が沸騰し、泡立った!
その声、、、
俺の歌姫、、、
やっと会えたね!
「ねえ、君!?
歌は好き?
本格的に歌の勉強してみない?」
な、何、この人!?
いきなり話し掛けて来て!?
〃〃〃お、王子様みたいに素敵だけど、、
怪しい、、、よね!?、、、〃〃〃
いきなり親しげに話し掛けてきて、きっとこの素敵な顔で、幼気な少女を誑かしては、どっかへ売り飛ばしてるんだわ!
赤ずきんちゃんも、寄り道しちゃったから、怖い目にあったのよね、、
私も、真っ直ぐ帰らないで、寄り道してるから狙われちゃったのね!
「はい、俺の連絡先、、、
で、あんたのは?、、、」
「あ、あのですね、見知らぬお方に、お教えする事はないです、、
では、失礼します、ごきげんよう」
とっとと、帰ろう!
携帯で車を呼ぶと、、
「つくしお嬢様、お客さまですか?」
「???、、、
ちょ、ちょっと、貴方!?」
「貴方じゃないでしょ♪
花沢 類って教えたじゃん♪、、、」
(さっき渡した名刺を見もしないで、後で捨てるつもりだろうけど、そうはさせないよ♪)
「あっ、つくしは類って呼んでよ♪」
な、何で、私の名前を!?
「つくしって、(今、運転手が)教えてくれたじゃん♪」
つくしと名前で、お嬢様を呼び捨てにする程、このお方は親しい方なのですね♪
お嬢様は、恥ずかしがって、まだ名前で呼べないご様子、、、
見れば、中々品のある素敵なお方、、、
ここは、この田崎が、一肌脱いで協力いたしましょう♪
田崎が、類のために車のドアを開けると、類も心得た様子でサッサと乗り込みます、、、
「へッ!? あの、モシモシ!?
何故、貴方が、家の車に乗ってるんでしょうか??」
「・・・・・」
さっさと、運転席との仕切りを上げる類、、、
「あの? 」
「・・・類!
類だよ♪・・・」
な、何?
このォ、顔だけ王子様め~!
いきなり、乗り込んできて 類と呼べとぉ~!?
「では、類さん、何故、、、」
「類!
《さん》は付けない!
他人行儀は嫌い!
で! つくしのご両親はご在宅?」
な、何ですかァ、この横暴王子め!
私の両親に何の用があるのよ!
「顔だけ王子様で、この横暴王子は、つくしのご両親に 挨拶しに行くの!」
へッ! 口に出てた?
マジ?
「マジ、口から駄々漏れ、マジ、挨拶に行くよ!」
「えー、挨拶って、何故???」
「・・・・・」
うんもう!
「ねえ、、る、類?、、」
「・・・・・」
類は、忙しく携帯を操作中、、、
車のナンバーから住所を調べさせて、、、
手土産はワインでと、、、
「・・・・・」
「何よ!
類ってちゃんと呼んだのに、返事してくれないじゃん!
もう、車から降りてよね!」
「あい、降りるよ♪」
えー!? 素直過ぎー、、、
???
、、、って、もう家に着いてるじゃん!