慟哭22
モハメドの迎えのジェット内で、、、
総二郎「あきら、何故、俺達なんだ?
何故、親父達では無いんだ?」
あきら「俺が知るかよっ!?
しかも、モハメドの別荘だぞ!?
今まで招待された日本人はいない、、、
何故俺達なのか、俺が教えて欲しいよ!」
総二郎「まあ捕って喰われる訳じゃないだろうから、、、」
あきら「しかし、極秘の招待というか拉致に等しい、いきなりのお迎えにはびっくりしたな、、、」
総二郎「俺達二人で飲んでいるところに、美女のお誘いを装った招待だなんて!
俺達の行動を完全に把握しているな!」
---回想---
あきらの個人的なバーで、、、
総二郎「よっ♪
どうした?
急に呼び出すなんて!?」
あきら「ああ、急に悪かったな、、、
夫人には言って来たのか?」
総二郎「あきらと一緒に飲むと言えば、何も言わんさ、、、
それでなくとも、子供に弟子に手一杯だからな、、、
あきらんとこは ?」
あきら「品行方正な愛妻家の家元と飲むと言えば、にっこり送り出してくれたよ、、、」
総二郎「品行方正ね!
どんな女も大した違いはない、、、
事後の虚しさは皆同じ、、、
だが、子供は違う、、、
子供がこんなに可愛いいものだなんて、思いもよらなかったぜ♪
子供は何人でも欲しいな♪
だから、少なくとも、家元夫人との事後には、虚しさはない、、、
それに、浮気は子供も苦しめるからな、、、」
あきら「お前は、父親の浮気で苦しんだからな、、、
幼子の厭世感は、半端なかったぜ!」
総二郎「お前んとこは、父親の浮気は無いが、母親と妹達に振り回される日常だったな、、、
大人の女性に魅力を感じるようになったのも、理解出来るぜ、、、」
あきら「その大人の女性にも振り回される俺って、、、
やっぱり、どんな女も大して違いはないのかな、、、」
総二郎「いや、一人だけ居ただろ?」
あきら「そうだな、、、
あんな女性は他には居ない、、、
だから、いつまでも忘れられない、、、」
総二郎「俺達の永遠の女性だな♪
我らの永遠の女性に乾杯♪
ところで、用は、、、」
あきら「ああ、例の画家だが、絵のタッチがどうしても気になってな、、、
風景画でも感じたんだが、例の絵を何度か見に行って、、、」
総二郎「あの画家は、あきらの思っている通り、俺達のダチだろ!
俺も、時間を見つけては、画廊に通ったぜ!
あの絵のタッチは、あいつのタッチだよ!
ましてあの女性の愛に溢れた微笑み、、、
あの笑顔が向けられる相手は、唯一あいつだけだ!
悔しいが、あいつだけが、あの笑顔を引き出せた!」
あきら「ああ、彼女をキャンバスに写しとる時の二人の空気感、、、
誰も入り込めない独特の空気感が、例の絵から立ち上っているんだ、、、
まるで、地上の楽園に居る二人、、、」
総二郎「画家の愛情が溢れた絵、、、
あの絵に題を付けるなら、『至上の愛』だな、、、」
ノックノック、、、
あきら「ああ、悪いね、今夜はもうクローズなんだ、、、
他所をあたってくれないか?」
ノックノック、、、
あきら「だから!、、、!!!」
差し出されたのは、モハメドの紋章が刻印された封書、、、