俺達が牧野の家に行くと、、、
弟が出てきて、、
「姉ちゃんは、ここには居ません、、」
あきら「病院か? まだ病院にいるのか!?
一目牧野に会わせてくれないか?
せめて類だけでも、、、」
進「姉ちゃんは、もう骨になって、今はあるところに居ます、、、
帰って来るのを待つばかりです、、、
何処か内々に話せるところにいきませんか?
ここでは、近所迷惑に、、、」
あきら「じゃ、メープルで待っている」
類「あきら、つくしは?
つくしは、ここに居ないの?
つくしは何処?」
あきら「類、ここでは近所迷惑になるから、メープルで待とう、、」
類「そうだね、近所迷惑になったら、つくしに怒られちゃうね、、、
メープルで待とう、、、
つくしは、後から来てくれるんだよね?、、、」
あきら「そうだよ、メープルで待てば牧野に会えるよ、、」
《俺は、嘘をついた、、、
いや、俺の望みを話したんだ、、、
メープルで待てば、牧野に会えると、、、》
総二郎に連絡を入れて、4人で言葉も交わさずひたすら待った、、、
そこに現れたのは、類曰く『牧野のママ』だった、、、
「皆さん、進からお聞きになったように、つくしは短い生涯を終えました、、
死因は脳出血で、以前頭を打ったことがあって、ジワジワと出血していたそうです、、、
頭を打ったことを私達に隠していて、バイトで体を酷使していたんです、、、
私達が不甲斐ないために、つくしが犠牲になってしまいました、、、
主人もショックで寝込んでしまいました、、、」
司「俺が! 俺が悪いんです!
俺が、赤札なんか貼ったから、、、
牧野が全校生徒の虐めの対象になって、、、」
「虐めですって!
そんな生易しいものじゃないでしょ!
道明寺さん、男子生徒につくしをレイプさせたんですよね!?
有希ちゃんから聞きました、、、
偶々花沢さんが居合わせて、止めてくださったから、未遂で終わったそうですが、それは虐めなでは無く、性犯罪ですよ!
つくしは、その後男性に触れられるのが怖くなりました、、
ただ、花沢さんだけは違ったようですが、、
なのに、道明寺さんは、そのあと、よくも白々しくつくしを追いかけ回すことが出来ましたね!
つくしは、レイプされかかったことが原因で男性を怖がったままでは、犯人に負けたことになると、自分を奮い立たせて再起したんです!
貴方達、女性の尊厳を何とも思っていない付き合いばかりしていらっしゃるから、処女のつくしの恐怖心なんか、到底理解出来ないでしょう!
和也君から聞きましたが、何度も階段から突き落としたり、車で引き摺ったりしたそうですね!
私達が心配するだろうと、つくしが、隠していたので、気が付かなかった!
もっと早く気が付いていたらと、、、
私達は、親失格です、、、
こんな人非人ばかりの学校に行かせてしまって、、、」
総二郎「違います!
親御さんのせいではありません!
司だけが悪いんでも無い!
俺達も、止めもしないで、むしろ面白がって見ていたんです!
いつまでもつか、1週間で自主退学するのに賭けていたんです!」
「貴方達って!
そこまで腐り切っていたなんて!
ああ、どうして獣ばかりの学校に、大事なつくしを通わせてしまったのか、、、
玉の輿なんて、煽ってしまって、酷い親です!」
類「牧野ママは、少しも悪くない!
悪いのは、俺達なんです!
なのに、つくしは、俺達を許してくれた、、、
俺のことを好きだと言ってくれたんです!
俺は、つくしを愛しています!
お願いですから、つくしに一目会わせてください!
俺、今日つくしにプロポーズするつもりだったんです!」
「花沢さん、私も、花沢さんには、つくしに会ってやって欲しい、、、
でも、つくしは、私達のところに居ないんです、、、
やっと実の父親が迎えに来て、今は父親のところに居ます、、、
ええ、つくしは私達の子供ではないんです、、、
私の親友に託された大切な子なんです、、、
私の親友は、遺伝子の異常があり、長生き出来ない体でした、、
つくしのお産の時に、心配で駆け付けた私に、つくしを託して安心して息を引き取りました、、、
もともと遺伝子の異常があった上に、お産の負荷が重なり、体がもたなかったのです、、、
ご主人は、研究一徹で、とても子供を育てることが出来ないため、ご主人も泣く泣く私達に預けたのです、、、
医師であるご主人の協力で、親友の望み通り、つくしを実子として届けました、、、
幸いつくしはもって生まれた素質からか、素晴らしい子に育ちました、、、
でも、つくしにも遺伝子異常があり、長生き出来ない体でした、、、
そんなつくしが恋をしました、、、
雑誌に載った花沢さんの写真を見て、王子様に恋をしました、、
私達は、つくしの命が尽きる前に、恋をして欲しかった!
恋をして、失恋しても、また恋をして欲しかった、、、
だから、父親から預かっていたお金を使って、英徳に入学させたのです、、、
実物の花沢さんに会って、叶わぬ恋をして、ちゃんと失恋して、次は身の丈に合った恋をして欲しかった、、、
英徳に赤札があるなんて、知らなかった!
知っていたら、入学させなかった!
ちゃんと調べずに入学させた私達が、つくしの短い命をさらに縮めてしまった!
しかも、花沢さんを遠くから見ているだけで満足していたつくしに、玉の輿と煽って、否応なしに花沢さんを意識させ恋心を掻き立てようとしたんです、、、
つくしに一斉一代の恋を味わって欲しかった!
主人は、赤札の実態とつくしの死の事情を知って寝込んでしまいました、、
花沢さん、つくしのお骨が帰って来たら、連絡しますので、しばらくは私達をそっとしておいてください、、、
お願いします、、、
そして、道明寺さん達、厳しいことを申し上げます、、、
私達は、つくしほど寛容になれません、、、
私達が、今後二度とお会いしたくないと言っても、ご理解頂けますよね?
では、失礼いたします。」
俺達は、身動き一つ出来なかった、、、
俺達は、知らなかったんだ!
いや、知ろうともしなかったんだ!
親の資金力を嵩にきて、人を人とも思わず、傍若無人に過ごしてきて、、、
何をすべきで何をしてはいけないか、知ろうともしなかった!
命に貴賤はないことを、、、
どんな人でも、愛し愛される価値があることを、、、
俺達が正しいことさえしていれば、俺達も真の無償の愛に巡り会えるということを、、、
お金で買えないものこそ、一生大切にすべきものだと、、、
大切なことを何一つ知らなかったんだ!
今となっては、牧野に恥じない一生を送ること、あの世で牧野に堂々と会えるように生きていくこと、それだけが、俺達の出来ることだった、、、