俺達が知らなかったこと30
あきら「牧野に、いや、花沢アンジュに会いたいだろう?」
司「会いたいさ!
けど、今俺が動くと人目を引いちまう!
それに、俺が自信がねえんだ、、、
自分の気持ちをコントロール出来そうにねえよ、、、
類に、牧野を譲れと脅迫しちまうか、土下座して懇願しちまうか、、、
やっと幸せになった牧野を動揺させたくはねえ!
仕方ねえ!
何年後かに、大丈夫となったら、堂々と会いに行くさ!
花沢アンジュとその子供にな!」
あきら、総二郎「・・・・・」
永遠に失ってしまったと思っていた愛する女性、、、
姿を変えて不死鳥のように現れた愛しい女性、、、
一度その腕(かいな)に抱き止められたら、自ら離れること能わずの女性、、、
その女性が、類の隣で少し恥ずかしそうに幸せに笑ってくれるなら、他に何を望もうか!
ましてや、つくしの墓の前でヴァイオリンを奏でる親友の類に、この世ではもう幸せは来ないだろうと心を悼めていたが、その類が、あんなに幸せそうに笑ってくれている、、、
大事な親友の類と俺達が愛する女性が、二人で居ることで幸せになってくれるなら、これ程嬉しい事はない、、、
まだ、しばらくは胸の痛みは無くならないだろうが、永遠に失ったと思った絶望と比べたら、二人のあの笑顔を見られるだけで痛みは、痒みに変わっていくだろう、、、
司「さっ! 辛気臭い話は終わりだ!
プロジェクトの話をするぞ!」
それは、NYで、古民家の形態のホテルを作るプロジェクトだった、、、
藁葺き屋根、土間、かまど、囲炉裏、掘炬燵、檜風呂、軒下、縁側、足湯、障子、襖、屏風、床の間、丸窓、お茶室、日本庭園、藤棚、光悦垣、水琴窟、鹿威し、露天風呂、竹林、、、
イベントも、季節に合わせて、、、
竹灯籠祭や紅葉狩り、お花見ばかりか、正月の餅つきに始まり、七草粥、鏡開き、雛飾り、吊し雛、菖蒲湯、5月人形、鯉のぼり、蛍狩り、七夕祭り、お彼岸、盆踊り、屋台、重陽の菊酒、柚子湯、お月見etc.
流石に、トイレ、バス、洗面に関しては最新式も導入
あきらも俺も身を乗り出して、企画を練り上げる、、、
類や進君、大河原、三條、優希ちゃんにも参加を打診する事に、、、
アンジュちゃんの参加は、類次第と言うことに、、、
ただし、アンジュちゃんと司との接点を当分の間は避けることと、、、
総二郎「面白いな!
マリーアントワネットのプチトリアノンのように、ニュヨーカーに非日常空間を提供するってか!?」
司「ああ、『あたしの日常は、あんた達の非日常なのね♪』って、誰か言ってただろ?
その言葉がヒントになった、、、」
あきら「ああ、あいつって、季節の行事に参加するのを楽しみにしていたよな、、、」
司「だろ!?
あいつが喜びそうなことを企画すると、全部当たるんだぜ♪」
《こうやって、司も、アンジュちゃんの為にと、生きていくんだな、、、》
総二郎「アンジュちゃんに、アイデア料を支払わないとな、、、」
司「ああ、これ迄の分は、偶々、スイスの牧野つくし名義の口座に振り込んであるから、うまく処理しないとな!
進の為に使ってもらおうと思っていたんだ、、、
先日からは、花沢アンジュ名義の口座に振り込んでいるぜ、、、
これは、アンジュの子供達の小遣いだな!」
《一体、いくら振り込んであるのか、聞くのも憚れるぜ、、、》