奥様は魔女1
「王様の耳はロバの耳~!」
「お前は裸の王様だ~!」
「着飾って気取っても、所詮オーラは薄汚い女ギツネどもめ~!」
「あっ、これじゃ、キツネちゃんに対する侮辱になっちゃうか~」
「ミジンコ? いやいや、ミジンコでも勿体無い奴らだわ、、、」
「人間なんてゴミみたいな物って、有希が言ってたけど、当たらずとも遠からずかな~?」
「はあ、こんなとこ早く卒業したいよ、、、
いくら修行でも、こんな酷い所に送り込むなんて、お父様は、何を考えてるのかなぁ、、、
今までは、音楽室に鍵を掛けて時間をやり過ごしていたけど、あの3馬鹿シスターズに見つかりそうになっちゃったし、、、
はあ、まっ、いいか♪
お腹空いたし、お弁当食べよっと♪」
《うるさいな~
あれ? 結界が消えている?》
類「あんた、うるさい!」
「うっわあ! ビックリしたぁ!
あ~、ごめんなさい
お邪魔しました!」
慌てて、お弁当を片付けようとする少女、、、
《びっくりしたぁ~♪
さらさらの金髪、ビー玉みたいな澄んだ瞳、長い足、超ハンサム♪
人間の王子様?》
《艶やかな濡れ羽色の黒髪、俯いている為見え隠れするほっそりした項、伏せられた長い睫毛、華奢な体型、、、
顔は、、、
大きく潤んだ黒い瞳、キスしたくなるぷっくりした紅い唇、触れたくなるキメの細かい肌、頬のエクボ、、、
纏うオーラは、俺の結界を易々と破る事が出来る、、、黄金と白金のオーラ!!
決めた! 》
類「それ、何?」
「? これのことですか?」
類「それって、食べられるの?」
《こ、こいつ、綺麗な顔して、人の作ったお弁当を食べられるのかって!?
やっぱり、ろくな人間が居ないのね!?
今日の卵焼きは、特に良く出来たのにぃ~》
《あんた、さっきから思ってること駄々漏れ♪
それに、何気に失礼だよ!
ろくな人間じゃ無いなんてさ!
あんたこそ、人間じゃ無いじゃん♪
まっ、魔女でも全然問題無いけどね♪》
え~っ! つくしちゃんって魔女だったんですか~!?(←って、私めが設定したんでした~、テヘッ♪)
類「それ、お弁当って言うんだ!
でも、何故、ここで食べるの?
あっ、あんた、一緒食べてくれる友達が居ないんだ!?」
《な、何、この人!?
いきなり、ズケズケと傷付くこと言ってくれちゃって!》
《あっ、友達が居ないの気にしてたんだ!
ごめんね♪ 話題を変えよう♪》
類「ねえ、その黄色の何?」
「これのこと? 卵焼きですけど?」
類「ふ~ん、美味しそうだね、頂戴♪
あ~ん、、、」
「〃〃〃!!!」
《ぷっ、そんなに紅くなって、可愛いいな♪
もしかして、俺の顔が好み?》
《うわあ、近い、近いよ、顔!
ひゃ~、綺麗な目!〃〃〃
長い睫毛♪ ホントにハンサム♪》
類「ちょっと、早く! あ~ん、、、」
「あっ、ごめんなさい、はい!」
真っ赤になりながら、卵焼きを類に食べさせる少女、、、
類「うん、甘くて美味しい♪
流石、自信作だね♪ あ~ん、、、」
《えっ、まだ食べるの?
進もこの卵焼きに目がないけど、、、
男の子って皆卵焼きが好きなのかな?》
類「うん、甘くてほっくりする味だね♪
この卵焼き、好きだな♪
ところで、あんた、名前は?」
つくし「つくし、牧野つくしです、、、」
類「つくし、可愛いい名前だね♪
気に入った!
俺、類、花沢類、、、
類って呼んで♪
で、つくし、進って誰?
あんたの彼氏?」
ビシッと睨む類、、、
つくし「ええっ! なんで進の名前を!?」
《それに、いきなりのつくし呼ばわり?》
類「彼氏なの?」
追求の手を弛めず詰問する類、、、
つくし「えっ、お、弟ですけど、それが何か?」
類の勢いに押されて、思わず答えるつくし、、、
類「ふ~ん、弟か、、、
そうなんだ、ふ~ん、、、」
急にご機嫌になる類、、、
類「つくし、早く食べないとランチタイム終わっちゃうよ!」
つくし「うわあ、大変~」
類「俺も手伝ってあげる♪
その丸いレースみたいなの頂戴♪」
と、またもや、お口を『あ~ん♪』
つくし「あっ、これは蓮根金平で、しゃくしゃくして美味しいんです、、、」
《クスッ、親鳥と雛鳥みたい~》
類に手伝うと言われて、逆に手間暇掛かっている事に気付かず、端から見たらイチャイチャとお弁当を完食した二人、、、
つくし「じゃ、失礼しますね♪」
類「あっ、つくし、待って♪
つくしのお弁当を食べちゃったから、デザートをご馳走するよ♪」
と、つくしの手から空のお弁当を奪い取ると、空いた手で恋人繋ぎをして、有無を言わさず引っ張っていく、、、
つくし「ま、待って!
午後の授業が始まっちゃう!」
類「午後の授業って、何の授業?」
つくし「え~と、数学とフランス語、、、」
類「大丈夫、俺が教えてあげるから♪」
つくし「え~、でも先生が出欠を取るから、、、」
類「何? 出席数が足りなくなるの?
あんた、一年生から、そんなにサボってんの?」
つくし「失礼な! 私、1度もサボったことありません!
それに、私、二年生です!」
類「アハハハ、あんまりチビッ子だから、一瞬中坊かとも思ったんだけど、、、
制服が高校のだから、新入生かと、、、
だけど、二年生とはね!
一体今まで何処に隠れてた?」
と、わざと背を丸めて、つくしの顔を覗き込む、、、
つくし「〃〃〃うわ、近い、近いって!
何も隠れてなんていません!
友達になりたい人が居なかったから、音楽室に居ただけです!」
《ふ~ん、虫が付かなくて、俺としては万々歳♪
中坊じゃないから、遠慮は要らないし、、、
変な虫が付かないよう、今後は、常に式神に守らせよう♪》
そうなんです、、、
類君は、式神を操る陰陽師なのです、、、
それも、歴代稀なる力を持つ陰陽師!
ただ残念なことに、力を行使するより、お昼寝が好きという眠れる獅子ならぬ眠れる陰陽師、、、
《今日は、先ず俺の使徒や式神に挨拶させようっと♪》
類「出席日数が足りているなら、いいじゃん♪
はい、早く乗って♪」
押し込まれるように、リムジンに乗せられたつくし、、、
つくし「あっ、私の教科書、カバン!」
類「大丈夫、後で取りに行かせるから♪
チュッ♪」
突然のキスに石化するつくし、、、
類「クスッ、可愛いい♪ チュッ♪」
つくし「な!」
類「したかったから、チュッ♪
これからも、したい時にするからね、チュッ♪」
つくし「〃〃〃!!!???」
類「つくし、俺以外とキスしたことある?」
つくしが、ブンブン頚を横に振ります、、、
類「そっ! 良かった!
もしも、そんな不埒な奴が居たら、成敗しに行くところだったよ♪
チュッ♪」
つくし「・・・〃〃〃」
類「つくし、良くお聞き♪
『我の言霊にて命ずる、我以外の男と口付けすべからず。』
『我以外の男と契るべからず。』
我、万物生きとし生けるものに宣言す、『牧野つくしは我に帰する者なり、以後肝に命じよ!』」
類から、音もなく気が放たれ、この世を被い尽くした、、、
つくし「何? なんなの、今の?」
類「ん? 何かあった?」
つくし「なんか体に電気が走ったような、、、
今も、体が暖かいものに包まれている感じ?」
類「クスッ、俺のキスに感じちゃっって、ボーッとなったんだ♪
じゃ、もっと感じさせてあげる♪」
つくしの頭と腰にガッチリ腕を回し、逃げられないようにして、ディープキスを仕掛けます、、、
《これ以上は、流石にヤバイ!
抑えが効かなくなりそうだ!》
つくし「〃〃〃・・・???」
類「何考えてんの?
心と体で感じて、流れに身をまかせれば良いんだよ♪
チュッ♪
さっ! 着いたよ♪」
頭の中に沢山の疑問符を抱えたまま、類にエスコートされて車から降りたつくしの視線の先には、、、
《うっわあ! 武家屋敷だぁ~
忍者は、どこ?
あっ、この運転手さんも、忍者?》
運転手の田崎に 丁寧にお礼を言うそばから、類に引き摺られていくつくし、、、
そんな類達を嬉しそうに見送る田崎は、携帯を出して、、、
田崎「もしもし、旦那様!?、、、」