愛は惜しみ無く奪い与える4
退散、退散、、、
そうする事で、姿が見えなくなるとでも思っているのか背中を丸め、抜き足差し足、、、
「誰!?」
ひゃあ、マズッ! 謝らなくちゃ!
とたんに背筋がピンと伸びたまま、一瞬固まるが、しぶしぶと身体の向きを変える少女、、、
一陣の風に煽られ舞い散る桜の花びらの中、、、
振り向いた少女は、黒檀のような輝く黒髪をたなびかせ、透き通るほど白くほっそりした首を傾けて、申し訳なさそうに話し出した。
「ご、ごめんなさい、お邪魔をするつもりはなかったんです。素敵な音色と桜の花びらに、思わず誘われて来てしまいました。すぐ失礼しますので、どうぞお続けくださいね」
絶対音感を持つ類にも、心地好く響く少女の声、、、
彼女だ!!
やっと会えた!!
ツカマエロ!!
「・・・ねぇ、それ何?」
「えっ!?」
話し掛けられて、大きな目を一層真ん丸にして固まる少女、、、
ミャア!
「・・・あっ、猫、迷子の子猫です」
「・・・それどうすんの?」