目で足し8
司「おい、類、それ、寄越せ!」
類「ヤダ、、、」
司「寄越せったら!」
あきら「司、それ、類が大切にしている縫いぐるみだぞ、、、」
司「だから何だってんだよ!
俺様が寄越せって言ってんだから、寄越せよ!」
総二郎「そんなに引っ張ったら、引き千切れるぞ!」
あきら「あっ!」
ウサギの耳が引き千切れてしまって、、、
ウサギを抱き締めたまま、蹲る類、、、
司「ふ、ふん!
類、 お前が放さないから、いけないんだぞ!
お、俺は悪くないからなっ!」
あきらが、千切れ落ちたウサギの耳を類にソッと渡し、類の背中を擦って慰め、総二郎が花沢の車を呼ぶ、、、
花枝「お帰りなさい、類様?
どうなさったのですか?
あらまあ!
つくし様とお揃いのウサギちゃんが、怪我しちゃいましたね?
大丈夫でございますよ、花枝がお手当てして治してしんぜますから♪」
類「・・・・・」
花枝「もしもし、奥様、花枝でございます、、、
つくし様は、どうしていらっしゃるんでしょう?
類様には、やはり、つくし様が必要です、、、
高遠様は、一時期とは言え、お二人を引き離して、何を考えておいでなのでしょうか?
この一年間で、類様には、それなりにお友だちは出来ましたが、、、
このままでは、類様が、、、」
花枝「類様、類様、嬉しいニュースです!
つくし様に、お会いになれますよ♪」
花枝が直したウサギの縫いぐるみを抱いて、ボーっとしていた類が、パッと顔を耀かせて、、、
類「ほんと!? つくしに!?
いつ? いつ会えるの?」
花枝「旦那様、奥様が、つくし様が通う予定のフランスのスクールに、転校手続きをしてくださいます!
類様、良かったですね♪」
類「花枝、明日フランスに帰るから、用意して♪」
《類様ったら、途端にお元気になられて、花枝も嬉しゅうございます、、》
司「おい! 類が来てないぞ!?
あいつ、また風邪でも引いて休んでんのか?」
あきら「類なら、ここにはもう来ないよ、、、」
司「なんでだ?」
総二郎「フランスに行っちまったよ!」
あきら「あっちのスクールに通うって、、、」
司「・・・・・
なあ、俺が壊したあのウサギが、関係してんのかな?」
総二郎「そんなの知るかよ!
でも、流石に、少しは悪いことしたって思ってんのか?」
司「あん!?
壊すつもりなんかねえのに、、、
あんなに簡単に壊れるとは思わなかったんだよ!!」
あきら「そうじゃ無いだろ!
司、人が大切にしているものは、いくらお前が欲しくなっても、手を出すんじゃねえぞ!!」
司「・・・わ、分かったよ!、、、」
司「なあ、類の奴、帰ってくるよな?、、、」
総二郎「類にとって、日本の学校じゃ物足りなかったんじゃね!?」
あきら「ああ、あいつの頭の中には、PCが入ってるんじゃないかって、何度も思ったもんな!」
総二郎「天才なのに いつもウサギの縫いぐるみを大事に抱き締めて、、、
変わった奴だったな、、、」
あきら「母親からのプレゼントだと言っていたから、母親替わりに大切にしていたんだろな、、、」
総二郎「母親替わりの縫いぐるみに、つくしって名前を付けるのも、変わり者の類らしいな、、、」
あきら「兎に角、今度類に会ったら、ちゃんと謝れよ、司!?」
総二郎「そうだぞ、類にとっては、母親替わりだったんだから、、、」
司「う、うるせえ!
分かってるよ!」
しかし、その後何年も類に会うこともなく、この事は記憶から忘れ?去られた、、、